Studio-TR! スタジオトリップス 2000
全ての存在は存在するが故に何かを伝える
決して思い通りにではなく----。
14 One&four or the other meaning とは
スタジオトリップスにより 2000年11月22日に発売したアダルトPCゲーム
斬新な構成に卓越した心理描写が深い感動を与える、非凡なる名作であった。
…しかし、何故かこの作品は極端に知名度が低く。当時から今に至るまで、感想もほぼ見つからなかった。。(唯一1つだけまともpに感想がある古いさいとがあったが、そのサイトでの評価は高かった。が現在は見れなくなっている。。)
なお、最近某S屋で謎にプレミアがついていて入手困難になってしまっているようです。。。
…なので現在この作品について語っている者は、実質私しかいなく、現在私がひとりで言っているような状態になったいなす。。(本音を言うなら色々なエロゲマーの感想がききたい…)ので何らかの形でこの作品に触れる機会画あったものは、この作品を広めてほしい。(私にはそういう力はないので…)
それだけが願いです。
ここからは作品の詳細と考察を書いていきます。
ネタバレ感想は下に分けてるので、気にせずに読んでください。
あらすじ
何者かに命を奪われたために、霊体として此の世にのこり続けることとなった主人公は、
生き神の導きのもと、散らばった14種の石(意思)を集めていく。
そして俺は、失われた「何か」を求め歩き出した…
石わ大きく分けて6つ、そのうち4つがさらに3つに細分化された。
「過去」- 「記憶」 「経験」 「再生」
「感情」- 「親愛」 「情動」 「依存」
「生命」- 「感覚」 「能動」 「抵抗」
「精神」- 「知性」 「理念」 「自律」
「希望」- 細分化されていない
「存在」- 自分の持つ石
3つを集めもとに戻すか、希望を手に入れるかで先に進めるようになる。これが第1の探索パート。石を集めるというのが少しyu-noを思い出します。
実際やってみると石集めは結構難しいですが、探しやすくなる救済要素やヒントもあり、時間ぎれで失敗しても石の所有でーたはそのままで何度でもやり直せるので(設定を考えるとこれはおかしい気がするがまぁ気にしない汗)、理不尽ななインドではない。このゲームパートをプロローグとして扱う事で、プレイヤーが物語に能動的に入り込みやすい効果をもたらして、プラスに働いているのではないかと思う。
さて石を集め元に戻すと、その石に応じたヒロインの個別ストーリーに進む、第2のシナリオパートが始まる。
ここでは実体化と憑依能力を使いながらすすめていきこととなる。
探索パートとシナリオパート
この作品は2つのパートで構成される。
それぞれの「意思」おテーマにした、4つのシナリオが本作品の核。
長くなるので先に総評を書く。
まず、意味深なタイトルと、興味深い粗筋に惹かれた。。
とにかく斬新な作品という印象だった、石を集めるという設定システム、「意志」という題材、物語の構成、表現手法が面白かった。
システムに少し難がある、普通のスキップはあるが、既読スキップとバックログがない。繰り返しプレイを要求されるつくりなのに既読がないのは痛い。またセーブ数が10しかなく使いにくい。
〇
主人公は既に死人、ということで当然ながら素直なハッピーエンドというものは、、、なぁい…?
かぎられた復活、残された時間、別れ。
そういった要素がしっかると展開される良質なシナリオ。
いわゆる「死生観」と呼ばれるものが描かれている作品(そんな安易な言葉で語りたくはないけどね我わ←)
今作のテーマはパッケージに書かれている文そのままなんですよね。
自分という「存在」が世界に何を与え、何を残していくのか。存在するとはどういうことなのか。
そんあことを考えながら読んでいくと楽しいんじゃないでしょーか。。(しらん)
4つの個別シナリオについて。
「生命」は単純に微妙。
「精神」は1つの物語として完成度が高い。
「感情」は感想が難しい。これは是非自分で見て欲しい、そこで感じたことが全て、だと思う。
「過去」、このシナリオでのみ真実が明らかになる。メインだけあって、とても面白かった。
心理描写的物語性に重点を置いた、というだけあって、シナリオプレイ中は様々な感情が呼び起された。
基本的にはどれも面白いのだが1つだけ微妙なのが混じってるのが本当に惜しい。
賛否が起こりそうなのもあるが、本筋に関わらないシナリオも(生命はとかく)、テーマを表現しようという力が入ってるのが伺える。
〇 何故埋もれたのか?
当時のエロゲ業界は勢いがあり様々会社が参入し、アングラの世界ながら、非常に多くの作品が生まれた。
そんなカオスの中には、色々な理由から日の目を見ることなく消えていったブランド作品も数多い。
この作品が埋もれた大きな理由としてはメーカーの初作であった前作、
「世界が君に夢みてる」
が重大なバグを抱えている欠陥作品で信用を失ってしまったことが大きいと思われる悲運な作品。
「世界が君に夢みてる」このソフトには重大な欠陥が存在する。その詳細は↑記事にて。
当時のスレにもそれを思わせる書き込みがある
参考サイト「マイナーな良作3」
どうでもいいが、このマイナーな良作スレは、実に様々なマイナー作品が語られていてとても面白いので1度目を通してみるといい。
この作品が発売された2000年はAir等が出て泣きゲーブームとも言える時代で、今作もその流れを汲むような作品であるが、注目されなかったようだ。
売り上げが振るわなかったのか、この作品を最後にブランドは停止sてしまったようだ。
スタジオトリップスの公式サイトによると次回作「クリアー」の制作もしていたが、会社の消滅と共に頓挫したと思われる。
「14」は自分がプレイしたエロゲの中でも最も素晴らしい敬意を示すべき名作。しかし
ここまで完成度と知名度が剥離している作品はみたことがない。
攻略→2000.12~2001.12月分→7
推奨攻略順 [静香(まりあ)→まりあ(静香)→梨奈→遥]
ーーーーーーーーーーーーーーーネタバレ感想ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ですがなるべくネタバレは避けるように書いています。。多分。
感想順はそのままプレイ順です。
エピソード1 一ノ瀬静香 (精神)
ナルコレプシー(睡眠障害)を患っている少女、幽体離脱することができ幽体の主人公と親しくなる。
途中で選択を間違えると、抜きゲーに変貌。
このシナリオは構成がとても凝っている。終わりかと思った所からがむしろ本番で、
予想をいい意味で裏切ってくる。
終盤の展開が面白い魅せ方なのだが、最初はなんでこれで終わりなんだ?と疑問符が湧いてしまった。
かなり不親切(せめて既読スキップがあれば…)
一応極電網にヒントがあるが、このシナリオ間では使えないんですよね…。
主人公とヒロインの距離感が、よくあるエロゲシナリオとは一味違っていた
最後の静香のモノローグに感動。。。
じんわりと染みてくるようなお話でとても良かったです。
1つだけ気になったのは静香が「声」を失った時の展開、主人公の態度に少々違和感があったことです
エピソード2 桜井まりあ (生命)
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
正直微妙…、ギャグ的に面白いとこはあったが、。
この作品で唯一 「つまらない」 と感じたシナリオでした。
共通と個別序盤の、まりあと主人公の絡みは情緒溢るるいい雰囲気やったのに、なんか話が全く予想外の展開に…
これ話にトヨキ君を絡める必要性あったのかなあこれ。。
なぜかこのシナリオだけLast End(真エンドみたいなもの)がない。
エピソード3 朝倉梨奈 (感情)
梨奈先生との甘酸っぱい日々、滝川とのラブバトル。
恋愛という要素がふんだんに詰め込まれた楽しいストーリー。
とにかく勢いがあって楽しく笑える場面も多かった。
まりあも薫も、このシナリオの方がキャラが活き活きしてるのだがゾ…、しかも遙まであんながっつり絡んでくるとは…、カオス()
このシナリオは色々な要素を活かそうと、遙の存在すらも物語に組み込んでるのは好感がもてる。
梨奈先生はとてもかわいいしかわいいしかわいいしかわいいし、、
本当に楽しかった、、。そう、楽しかったんだよ…、あの時までは。。。
ただただ呆然とした、あまりのにも衝撃敵で。いや、09/01にああなった時点で、本当はわかっていたのかもしれない。
それでも
梨奈の存在の意味がこんな形でわかるなんて、こんな結末って、、、、、、。
このシナリオには、取ってつけたような、もう一つendが在るのだが、このendの存在をどう解釈しゆるべきか。。
こんなものが存在すること自体が皮肉に思えてならない。。
その笑顔の先に、本当に幸せはあったのかい………?
正直、とても感想に困るシナリオだった。というかもう何も考えたくない。
もう情緒が滅茶苦茶になったし。
しばらく立ち直れなかった。。。
よくできた物語なのは違いないんですけどね。。
エピソード4 大沢遙 (過去)
主人公の正体、そして死の真相、その全ての真実が明らかになる唯一のシナリオ。
兄妹という関係への葛藤と、事件の真相に迫る展開、どちらも濃密にしっかり描かれていました。
ありがちな展開ながら、それでもそこに至るまでの経緯は、なかなか面白く飽きさせないつくりだった。
妹、遙の可愛さとそれを取り巻く者たち、
終盤のどうしようもない絶望とやるせなさを含んだ展開は目を見張るものがある。
真実は単純なように見えて、その実様々な存在が複雑に絡み合っていて、なかなか衝撃的でした。
このシナリオもendが2つに分かれているが、どちらもいい味を出しています。
1つのendは色々複雑な心境に思うところもあるが、主人公が犯人に「このクソカスがぁー(違)」とボロクソ言ってくれたのが少し救われた気分。これはこれでまとまっているのかなと思う。
メインっぽいもう1つのendがとてもいい。
喪失からの再起、という点では静香と同じだが、それぞれ描き方が違うのが良い。
深い悲しみの果てに、だからこそ見つけられた『希望』が輝く。
儚く守ってってあげたくなるような存在だった遙が、「過去」を乗り越え一歩を踏み出すための物語。
遙という存在が、私の中の深くに残りました。
素晴らしい物語でしたが1つだけ気になることがありますそれはエピローグの展開がもろに某アニメ作品「天〇〇〇のビ〇オ〇〇ー」の影響を受けているな、ということ(発売時期を考えても確実にpaくってる)。しかし全く同じというわけでもなく、独自の解釈による切り口で描かれているともいえる、そしてこの物語の結末はこれしか考えられないともいえるいい終わり方でした。
☆「妹」へのアンチテーゼ?(超ネタバレ)
このシナリオの面白い所は、ある意味では、妹ものへのアンチテーゼともいえる要素を大きくもっていると感じるところ。
遙は典型的なお兄ちゃんっ子の妹キャラである、彼氏の存在があるものの、その実、その心はほとんど兄へのものだった。
物語終盤で遥と主人公は義理の兄妹であったことがわかる。この設定は本来エロゲなら確実に結ばれるためのフラグであり予防線である。
しかし、この事実を知りながらも兄としての葛藤を乗り越えても、それでもこの2人が結ばれることはなかった。
実際に1つのEDで結ばれたのは本来の血縁者であり本当の兄、拓哉。
主人公(兄)が一応納得済とはいえ、血縁のなかった主人公(兄)ではない兄と妹ヒロイン(血縁)が結ばれるちうのも強烈な皮肉である。
そもそもこの作品は基本的に主人公とヒロインは結ばれない運命にある、それは設定からして覚悟できるものだ。
しかし例外として梨奈エンドのみ何故か存在するハッピーエンド。これはもしかしたら他のキャラでもハッピーエンドが存在するのでは、と思わせるためのブラフだったのかもしれない。ましてや遙はメインヒロインである。 だからこそあのEDはあらゆる面で皮肉が聞いていると感じる。
ヒロインと結ばれぬもののヒロインとセッくすをし肉体的に結ばれる展開は遙以外のヒロイン全てに一応存在する、しかし遙だけは夢オチの陵辱以外のHシーンが存在しない。遙とは肉体的にも絶対に結ばれることはないのだ。
メインヒロインであり妹であるキャラとの肉体的な結び付きを安易に描かず、妹との関係をある意味それすらも超えた精神、存在としての結び付きとして昇華させた本作は、
兄妹として、そして、男女としての『絆』を描き切った物語なのかもしれません。
そして、安易に兄妹間でえっちしてしまう妹もの作品のアンチテーゼとして大きな意味を持っているのではないだろうか。(なんじゃそら)
☆『希望』(補足あるいは蛇足)
これを書くのは蛇足かもしれませんが。。
作中の説明やマニュアルではあたかも手に入るかのように書いていますが、実際の所入手する手段は多分ない。
公式の説明に4つの物語とあるように、『希望』の石と追随する物語は存在していない。
マニュアルの説明的に恐らく希望の石はそれを入手するだけで全てのシナリオが開放される効果を持つ。
しかしそれは石を集めるというこの作品のコンセプトが台無しになってしまうので廃止されたのかもしれない。。(まあただの不具合かもしんないけど())
そして、希望だけが作中で最後まで見つからないことが、特に遙編において大きな意味をもっている。これは偶然そうなったのかもしれないが、希望の意味が最後にわかるのはゲームの構造として見事なのではないだろうか。、
14 one & four or the other meaning